お彼岸の中日は当山のお施餓鬼法要があるのですが、その中日にお葬式が入りました。
19日が友引でしたので、そこを避けて20日の中日にお葬式をするという事になったんですね。

新宮あたりは友引にお葬式はしないのが一般的ですが、地域によって友引でも気にせずお葬式をされる所はあるようです。

ちなみに仏教的には友引にお葬式をしても全く問題ありません

そもそも友引というのは六曜という暦の占いの項目の一つで勝負がつかない日、という事になっています。
また友引の他に仏滅というのがあるので仏教と関係があるように思われがちですが、もともと「仏滅」でなく「虚亡」といわれていたものが「物滅」といわれるようになり、その「物」の字に「仏」をあてるようになった、という変遷があっただけの話で仏教由来のものではありません。

話は戻って友引ですが、友引=友を引く
という語呂合わせで、友引の日にお葬式をしたら亡くなった人にあの世に連れて行かれる、という迷信からこの日はお葬式を避ける事がマナーのようになっていますが、仏教的根拠はありません。
しかし習慣のように根付いてしまい、「参列者が嫌がる」とか「常識がないと思われると困るから」という事で友引のお葬式は避けられているのが現状です。

マナーって得てしてそういうものですよね。
自分に正しい知識があったところで誤解している人の割合が多ければ誤解の方が正解になるという。

六曜は鎌倉時代に日本に伝わったそうですが、広く用いられるようになったのは明治以降です。
昔から暦の占いというのは生活に浸透していたようですが明治になって当時の政府は
「そういうの迷信だから全部禁止な!」
と暦の占いを強制的に廃止しようとします。
しかし急に廃止されるとかえって混乱し、人々の反発を招いたようで、ガス抜きのように残されたのが六曜です。
さほどメジャーでもなかったものが妙に幅を利かせてそのまま現代に至っています。

冠婚葬祭から建築関係をはじめ、お祝いやお見舞いでやたら気を遣わなきゃいけない六曜。
個人的には意味あるのかなと思いながら、一応失礼がないように従っています
日を決める目安という便利さはあるのかも知れません。

ちなみにあまりいらっしゃいませんが、友引の日でもお葬式をご希望という方がいた場合はお引き受けしております。
お葬式の日が友引だけど、日程を引き延ばすと大切な仕事に行けない、といった外せない予定がある時は考えてみて良いと思います。

また、友引を避ける事をとやかく言うつもりもありません。
お葬式の時に慎重になるのももっともだからです。
それぞれの気持ちを尊重しながら状況に応じた対応が出来ると良いですね。


和歌山県新宮市にあるお寺 日蓮宗本廣寺