今年も、もう半分が過ぎようとしています。
月日の流れが本当に早く感じられますね。
年齢を重ねるごとに時間があっという間に
過ぎていくように感じるのは、
脳の情報処理や経験の蓄積が関係しているといわれています。
過去に似たような体験をしていると、
脳が「これは以前も経験したことだ」と判断し、
思考や反応を自動的に行うようになります。
こうして効率的に行動できるようになる一方で、
脳への刺激が減り、結果として時間の流れを
早く感じるようになるのだそうです。
しかし、仏教の視点から見ると、
「何も考えずに反応し、行動してしまう」
という状態は、必ずしも望ましいものではありません。
自分の心や行動に意識を向けず、
ただ流されるように日々を過ごすことは、
心の成長や気づきを妨げてしまいます。
一方で、新しいことを体験したときには、
「これは何だろう?」「どういうものだろう?」と、
脳がより深く分析しようとします。
このような時、情報処理に時間がかかるため、
時間も長く感じられるといいます。
つまり、私たちが感じる時間の長さは、単なる時計の針ではなく、
心の向け方によって変わると言えそうです。
年を重ねるほどに、目新しさを感じる機会は減っていきます。
それによって、脳は身の回りの出来事にあまり反応しなくなり、
時間がどんどん早く過ぎていくように感じられるのでしょう。
それに比べて、幼い子どもたちにとっては、
毎日が新しい発見の連続です。
だからこそ、子どもが感じる一日は、
私たちの何倍もの長さに感じられるのかもしれません。
けれど、私たちの毎日も、よく観てみれば、
決して「同じこと」の繰り返しではないはずです。
たとえ似たような日々の中にも、
小さな違いや新しい気づきがある。
それに気づく心を持ち、
子どものように注意深く今起きていることに関心を向け、
観察し、大切にしていく。
そうした心のあり方が、日常を豊かにし、
充実した毎日をつくっていくのではないでしょうか。
また、たまにはいつもと違うことをしてみる、
新しいことを取り入れてみる、
そんな工夫も時間の流れに変化を与えてくれるかもしれません。
いや、むしろまだ3月くらいでは・・・?
残り半年を大事に過ごしたいものです。
和歌山県新宮市にあるお寺 日蓮宗本廣寺