今日は珍しい追善法要を行いました。
ご先祖が新宮の士族だったというご親類の集まりで、報恩の供養をしようとお参り下さったのです。

以前ご一行がルーツを求め新宮の城跡を訪ねた際、たまたま新宮の歴史に通じた人と出会って交流が始まり、そうしてご先祖の菩提寺である当山へとたどり着かれました。

当初は「新宮は何もないらしいからさっさと切り上げて白浜のパンダでも観よう」という向きもあったそうです。
しかしお一人が、「よくよく城跡を見ておこう」と提案した事から城跡での出会いに繋がり、連絡を取り合う中で「先祖の菩提寺で法要をしよう」という事にまでなりました。

「よく城跡を見ておこう」と提案されたのは「どうもそうした方が良いような気がした」からなんだそうです。
この方のお家も日蓮宗という事を伺いまして、仏様の御計らいで様々な人を介して同じ信仰を持つ者同士をつないで下さったんだな、仏縁というのはあるんだなあと感じました。

もちろん今回の仲立ちをなさった方の、時間と労力をいとわない無私のご親切あればこそなのですが、それも仏の力の働きのように思えてしまいます。(しかも奥様は先代住職と同級生だった方で、これも何だか縁を感じます)

それにしてもただ調べるだけでなく法要までやろうというのは只事ではありません。
ご先祖、信仰という根っこを大事になさるから豊かな心が育まれ、人とのつながりを大事になさるから人生も開かれていくのですね。

根深ければ葉枯れず 泉に玉あれば水絶えず

といった感で、尊く有難い日になりました。


和歌山県新宮市にあるお寺 日蓮宗本廣寺