4月8日はお釈迦様のお生まれになった日です。
本廣寺でも誕生仏を祀った花御堂を飾り法味を言上しました。
4花御堂

そして10時からは新宮仏教会の降誕会、そして13時から新宮市福祉センターで平和祈念祭(戦没者供養)です。

降誕会も戦没者供養も命について考える法要です。

花まつりはお釈迦様の誕生を祝うのですが、花まつりの重要なテーマとして、命の尊重があげられます。
お釈迦様が生まれてすぐ「天上天下唯我独尊」と仰ったと伝わります。
これは世界中で「私」という存在はただ一人、替えのきかない存在であるから、全ての個々の命が尊いという事です。

一方で戦争は人の命、尊厳を無視するものです。
戦死者を何百万人と数字で表しますが、これだと数字の方ばかり認識してしまい、犠牲になられた人の存在が見えなくなるように思います。
新聞記者で詩人だった土岐善麿という人が日中戦争の時、

遺棄死体 数百といひ 数千といふ いのちをふたつもちしものなし

と詠んだそうです。
数字で大雑把に表されているけれども、亡くなられた方にとってはかけがえのない命だと訴えかけられます。

亡くなられたのは私たちと同じ様に家族友人がいて、思いを持った方なのだという事は心に留めておきたいと思います。

仏教会の平和祈念祭では、霊簿に記された英霊の名前を一人一人読み上げ供養します。この方々の犠牲があり、先人の努力の先に私たちの生活、平和がある事を感じます。
こうした慰霊に参加するたびに感じるものがあり、実は供養の有難さを一番享受しているのは私たち僧侶の側なのかも知れないなと思う程です。
だから参列した人以外にお伝え出来ないのは何とも勿体なく残念なんですよね。

花まつり降誕会という「個の命、全ての命の尊重」をする日に、戦争によって二つとない命を失った方の供養をする事で、その命に意義を見出す事に繋がっていて欲しいと思います。
和歌山県新宮市にあるお寺 日蓮宗本廣寺